水道管 掘らず検査する技術を開発(産業技術総合研究所とクボタ)

2025年5月20日の日本経済新聞(15面)に、「道路を掘らずに水道管を検査する技術の実用化」に関する記事がありましたので、ポイントをまとめました。
サマリー
- 産業総合技術研究所(産総研)とクボタは、道路を掘らずに上水道管を検査する技術を2028年に実用化
- 掘って調べる場合に比べて、検査費用を30分の1にできる
- 検査が容易になれば、水道管の破損事故を防ぎやすくなる
技術概要
- 地面に電気を流して、土壌の電気抵抗を調べて、水道管の腐食具合を推定する
- 上水道管は主に鉄でできており、土壌中の塩分などの影響で腐食する(塩分濃度の高い土壌は腐食が進みやすい)
- クボタは土の電気抵抗の値、水道管の埋設年数、腐食具合の関係に関する6000件の調査データを持つ
- 産総研は、地上に装置を置いて電気を流すだけで、地下の電気抵抗を調べる技術を持つ
- 両者の技術を組み合わせれば、水道管の腐食具合を容易に推定できる
検査効率・コスト面の効果
- 1日に5000メートルの距離を検査可能
- 費用は30分の1になる
- 道路を掘り返して水道管を直接確認する従来の手法では、1日に10メートルしか検査できなかった
クボタの事業展開
- クボタはすでに自治体などにAIを活用して水道管の老朽度を推定するサービスを提供している
- このサービスに産総研との成果を組み込んで、漏水リスクの高い水道管を絞り込む
- 将来は他社に技術をライセンス供与することも検討
水道管の老朽化の現状
- 水道は高度経済成長期に急速に普及したが、更新が進んでおらず、老朽化している
- 上下水道の漏水などの発生件数は年間1万9766件(2022年度)にのぼる
- 法定耐用年数の40年を超えても更新されていない上水道管は、2022年度時点で約18万キロメートル(総管路延長の約24%)存在する
- 自治体の財政難などから上水道管の更新率は年間0.6%程度にとどまる